無我の心身に響く謡~天地と繋がる能楽の魅力

今月より古巣の団体稽古に戻り、皆さん変わらぬ笑顔で迎えていただきました✨
謡はこれまで稽古してきた「紅葉狩」ワキ(平維茂)から再び「高砂」ワキ(神主友成)へ。
先輩方が新年会で披露する謡「吉野天人」の稽古もご一緒しました。
驚いたことに、隣に座っていたシテ(天女)の先輩が発した登場の第一声がこの世の者と思えぬ、まるで天から響いてくるような声だったのです。しばし聴き入りました。
「高砂」稽古の時には、この秋に結魂された友人夫妻の顔を想い浮かべながら寿いでいると、自分の声が自分のものでないような、それでいて全く疲れを感じずどこまでも声が伸びていくような感覚を覚えたのです。

高砂や
この浦舟に帆をあげて
この浦舟に帆を揚げて
月もろともに 出で汐の
波の淡路の島影や
遠く鳴尾の沖過ぎて
はや住の江に着きにけり
はや住の江につきにけり

能楽の稽古を続けていくうちに、視えない存在にこの身を明け渡す感覚を感じるようになりました。天地と繋がり、長い呼吸で、細胞に謡を響かせる、そうしたときに我欲から離れた心身は言靈と共振・共鳴しているのでしょう。
稽古の後は清々しい氣持ちと共に振り返りを行いました。先の天女の声を発した先輩が謡っていたときの不思議な感覚を笑顔で共有してくれました。
みんな根っこで繋がっている、そのことを改めて実感しました。感謝✨